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【病気紹介】副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは

2022.01.15

『副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)』とは

副腎とは左右の腎臓の頭側に対をなして存在する臓器で、ホルモン分泌を行っている。副腎は髄質と皮質から成り立ち、髄質はさらに球状帯、束状態、網状帯に細分されます。クッシング症候群はこのうち束状帯から分泌される糖質コルチコイド(グルココルチコイド)が過剰に産生されることで起きる病気です。

 

通常は脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、副腎に対してコルチゾール(副腎皮質ホルモン)産生を促している。必要以上に分泌されないように、常に負のフィードバック機構が働くことで、体内の恒常性を維持している。

 

クッシング症候群は以下の3つの原因により成立します。

 

①下垂体性クッシング症候群(PDH)

脳下垂体の腫瘍などにより負のフィードバックが効かなくなり、ACTHが持続的に出続ける結果、コルチゾールが分泌され続ける状態で、両側の副腎が腫大します。犬ではクッシング症候群全体のおよそ80〜85%を占めます。

 

②副腎腫瘍(AT)

副腎自体が腫瘍化することで、脳下垂体からのACTHとは無関係に自律的にコルチゾールが分泌され続ける状態。左右どちらかの副腎のみ異常に腫大していることが一般的です。およそ15〜20%を占めます。

 

③医原性クッシング症候群

アレルギー性疾患や免疫介在性疾患などの治療薬としてステロイド製剤を長期間使用することで、クッシング症候群と同様の症状を示した状態。ステロイドを外部から体に取り入れることで、元々正常に機能していた副腎自体が萎縮した状態となり、機能自体が低下した状態となっています。

 

クッシング症候群の症状

多飲多尿、多食、パンティング、腹部膨満、皮膚トラブル(左右対称性の脱毛、菲薄化、石灰化、感染症)、筋量の低下、肝臓の腫大

 

これらの症状が見られるケースがあります。

クッシング症候群の診断

臨床症状からクッシング症候群が疑われた場合、血液検査、尿検査、ホルモン検査、超音波検査を行い、総合的に判断することが一般的です。

超音波検査にて両副腎ともに腫大が認められる場合、下垂体性クッシング症候群を疑うため、脳のMRI検査やCT検査を行い、脳内やその他の臓器の検査を行い、判断します。

 

 

クッシング症候群の治療

①下垂体性クッシング症候群

症状の緩和を目的とした内科療法、下垂体腫瘍の切除を目的とした外科療法、下垂体腫瘍の縮小を目的とした放射線療法があり、腫瘍の大きさを考慮して治療法を決定する。

しかし、脳外科手術は難易度が非常に高く、獣医療では一般的ではなく、放射線療法も大学病院等の限られた施設でしか行えないため、一般的には、症状の緩和及び二次的な合併症に対する内科療法がメインとなる。

 

②副腎腫瘍

治療の第一選択は外科手術による副腎の摘出である。しかし、副腎が近くの大血管に接していたり周辺の組織に浸潤していたり、肝臓や肺に転移したりすることで外科手術が困難な場合は、内科療法による治療を行う。

 

③医原性クッシング症候群

ステロイド製剤を長期間使用することで症状が出てしまうが、いきなり使用を中止してしまうことでリバウンド症状が出てしまう可能性があるため、徐々に使用を少なくする必要がある。

 

獣医師から一言

以前と比較してお水を飲む量が増えた、毛が薄くなった、お腹がぽっこりしているなど気になることがありましたらお気軽に当院獣医師までご相談ください。

 

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