Works症例紹介
【症例紹介】 僧帽弁閉鎖不全症(Stage B1)
2021.12.26
症例
動物種:イヌ
品種 :チワワ
性別 :未去勢オス
年齢 :14歳
体重 :1.7kg
主訴
心雑音
Levine 3/6
慢性的な発咳
検査
・胸部レントゲン検査
・心エコー図検査
胸部レントゲン検査
頸部気管虚脱を認めます。
VHS:9.8
左心房の拡大や肺血管系の拡大は認めません。
肺野に特筆すべき異常は認められません。
・心エコー図検査
左側長軸4腔断面
僧帽弁の粘液腫様変性が認められ、それが原因となり中-重度の僧帽弁逆流を認めます。
三尖弁逆流や右心系の拡大は認めません。
・左側短軸断面乳頭筋レベル
左室拡張末期径: 1.9cm
体重標準化左室拡張末期径: 1.61
左室の収縮率: 47%
・左側短軸断面心基部レベル
LA/AO: 1.35
肺動脈血流速: 0.44m/s→層流
三尖弁逆流は認めません。
・右側長軸5腔断面
僧帽弁逆流速: 4.55m/s
大動脈血流速: 0.62m/s
拡張早期左室流入波形(E波): 0.79m/s
拡張後期左室流入波形(A波):0.99m/s
E/A: 0.79
診断
僧帽弁の粘液腫様変性による僧帽弁閉鎖不全症
ステージB1
治療
アピナック 6mg (心臓のお薬):1日1回
テオドールシロップ (咳止めのお薬):0.5ml 1日2回
獣医師からのコメント
この子の慢性的な発咳は心臓がそれほど大きくはないことから、気管虚脱と呼ばれる病気からくるものだと判断しました。
そのため咳止めを処方しています。
そして心臓のお話ですが、この子はワンちゃんに最も多い僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁閉鎖不全症にはステージ分類としてA.B1.B2.C.Dがありますが、この子のステージはB1です。
ステージB1とは、僧帽弁閉鎖不全症という病気はありますが、心臓がまだ大きくなっておらず、投薬は必要ない場合が多いというステージです。
この子の場合はステージB1ではありますが、僧帽弁逆流が比較的多いので、ACEIという心臓の保護剤を始めています。
もちろん僧帽弁閉鎖不全症は進行性の病気なので、ステージが段々悪くなってしまう場合とありますが、適切な経過観察により、進行を遅らせることが可能です。
そのためステージが比較的早期な段階ですが、3〜6ヶ月ごとの心臓の検査を行い、心臓の状況を確認させていただくことをお勧めします。
当院は、古河市古河にある栗田動物病院です。
古河市、下都賀郡、加須、久喜からも多くの方にお越しいただいております。
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